俺の恋人のフリをしてほしいと上司から頼まれたので「それは新手のパワハラですか」と尋ねてみたところ
「では、私はこれで失礼します。隣の部屋におりますので、何かありましたらお声がけください、モニカ様」

 イアンはそう言うと、この豪華な部屋から出て行った。その背中を寂しそうに見送るモニカに気付いたのか、カリッドはそっと彼女の後ろに立った。

「モニカ」

「ひっ……な、なんですか、団長。驚かさないでください」
 急に名を呼ばれたモニカは右手を垂直にあげ、その手の平を下に向け、そして左手は肘から垂直に曲げて自分の方に手の平を向けてしまうという情けない恰好をしてしまった。

「そんなに、イアンが気になるのか?」

「はひっ?」

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