俺の恋人のフリをしてほしいと上司から頼まれたので「それは新手のパワハラですか」と尋ねてみたところ
「いや、君が熱心にイアンを見つめていたから」

「いえ、違います。休暇の日まで団長のお守りとは、大変だな、と思っただけです」

「お守り……」

 あながち嘘ではないため、カリッドも反論はできない。

「あいやー、それにしてもいいお部屋ですね。怖くて、その辺に座れないです」
 モニカは室内をきょろきょろと見渡した。

「モニカ。ここに座れ。荷物は、預かる」
 あまりにもモニカが立ち尽くしながらきょろきょろとしていたためか、カリッドが無理やりモニカの荷物を持って、奥の部屋へと消えて行った。
 奥の部屋。あの部屋には何があるのか。
 いや、この部屋に寝台が無いのだから、恐らくあの部屋に寝台があるのだろう。こうやって表の部屋から見えないような作りになっている時点で、やはり高級なお宿だ。
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