ママの手料理 Ⅱ
「ああ、まさしくそれだろうな。…笑美、何でお前はチビがそこに居る事が分かった」


それに頷いた琥珀は、閉じていた目をぱちりと開いて笑美を睨みつけてーいや、見つめてー問うた。


「ひっ、」


(あ、心の声漏れてる)


笑美は分かりやすく怯えたものの、唾を飲み込んで再び口を開いた。


「…私が下僕だということは皆さんご存知だと思うのですが…。実は怪盗パピヨンが、私達下僕を売っている組織でして…。この事は、ご主人様にしかお伝えしていませんでした。申し訳ございません」


そこで頭を下げた家政婦、いや下僕に、


「あぁ、いちいち謝られるの面倒だからそのまま話しちゃってくれる?長くなると、寝る前の顔パックする時間奪われちゃうから」


何とも酷い理由を述べながら話すように促したのは、もちろん仁だった。


(うーわナルシスト、それが女の子に対する態度?ふっざけてるわこいつ…)


思わず心の中で文句を垂らしたものの、


「…怪盗パピヨンのリーダーは、一般に“大叔母さん”と呼ばれる人物です。私達下僕は生まれてからご主人様に買い取られるまで外の世界に出た事がない為、私もその本拠地は詳しくないのですが…。1つ言える事は、私達には名前が無いという事です」


笑美がまた話し始めた為、俺は静かにその話に耳を傾けた。
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