ママの手料理 Ⅱ
日常
「えー琥珀今日も仕事ー?たまには休んで俺と一緒に居てよおおお」


「いや、俺が働かなかったらこの家が潤わねぇから」


「盗みとバイトで稼いだお金があるから大丈夫!ねえお願い、駄目なら俺が着いて」


「お前は死んでも着いてくるな、もし来るなら公務執行妨害で逮捕するからな」


(琥珀のケチ!)



2月も半ばを過ぎ、梅の花が咲いてきた今日この頃。


俺ー伊藤 大也(いとう だいや)ーは、今まさに警察署に行こうとしている想い人に向かって反抗するのを止めた所だった。


「全くもう、そんな事してるならお店開く手伝いして!…行ってらっしゃい、琥珀」


頬を膨らませる俺を見てわざとらしく頭に手を当てた我がリーダー、吉良 湊(きら みなと)は、次の瞬間笑顔で警察官である高杉 琥珀(たかすぎ こはく)を送り出した。


「え…また重いもの運ぶの?右腕まだ治りきってないんだけどー」


暇になってしまった俺はぶつくさと愚痴を零しながら、仕方なく“ママの手料理”の裏口へ向かう湊の背中を追いかけた。




12月24日のOASIS攻めの日、俺はラムダという名前の幹部に彼岸花の毒を含んだ液体を右腕に注射され、一時は生と死の境をさまよった。
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