ママの手料理 Ⅱ

(9センチは、やっぱり女性から見ても高いのか…)


そう考えつつ、銀子ちゃんから頂いた豆知識をさも前から知っていたかのように披露すると。


｢…えっ、本当？めっちゃ嬉しいよ大也君っ…！｣


彼女は照れたようにはにかみ、俺の肩に頭を乗せてきた。


(うっぎゃあ！あーびっくりした、…琥珀ー、今朝会えなかったんだから会いたいってばぁ…)


そんな事を考えていると悟られないよう、俺は微笑みながら彼女の茶髪に指を絡める。


｢ナミちゃん、髪めっちゃサラサラだね。女子力も高いし、君みたいな子を彼女に出来たらもう言う事ないよ｣


俺の台詞を聞いた彼女は、心から嬉しそうに目を細めた。


｢えぇーっ、そんな事ないって！大也君の髪も白くて綺麗だけど？染めてるんだっけ？｣


｢これ地毛だって何度も言ってるでしょ？忘れちゃった？｣


｢えー、でもどうやったら白髪で生まれてこれるわけー？｣



と、そんな会話をしばらく繰り広げていると。



｢大也くーん、ちょっと｣


此処のNo.2ホストである、カズヤに手招きで呼ばれた。


｢あ、ごめんねナミちゃん、ちょっと外すね。すぐ戻るよ｣


俺は立ち上がり、彼の元に向かった。


｢どうしたの｣


｢お前に電話がかかってきてるみたいなんだ。取り敢えず出て｣


カズヤは、自分で言いながら首を捻っている。


｢え、俺に？今？｣