ママの手料理 Ⅱ
数日後。


「ゴールデンウィーク、せっかく予定立ててたのに豪雨で丸潰れになっちゃってー。その次の週は熱出して家で死んでたし、ほんと最悪!」


「それは大変だったね、ナミちゃん。でも君の体調が戻ったなら良かった!俺、毎日ナミちゃんの事待ってたんだよ?」


俺は、ホストクラブで常連客であるナミちゃんの相手をしていた。


「…うん、此処のNo.1の大也君と話せてるだけでもう幸せ…」


「何言ってるの、俺だってナミちゃんと話せてすっごい幸せだよ」


(幸せ!?…琥珀ー会いたいよぉ、クラブ来てくれないかなぁ…)


笑顔で彼女のグラスにワインを注ぎながら、俺は心の中で嘆いた。


琥珀に会いたい、そう思いながら俯くと。


「あ、これハイヒール?」


彼女の身につけている、赤色のハイヒールが目に入った。


「そうだよ、他に何に見えるの?」


ケラケラと笑う彼女に合わせて頬を緩ませながら、俺は質問してみた。


「ねえ、このヒールって何センチくらいなの?…ほら、俺履いたことないからさ、歩きにくいのかなって」


「んー、これは7センチ!5センチだと盛れないし、9センチだと高すぎて歩きにくいんだよねー」


「そうなんだ!俺、7センチのヒールは日本人女性に1番合う高さだって聞いた事あるよ。だからナミちゃんも今日めっちゃ可愛い」
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