ママの手料理 Ⅱ
「あ、そうなの…。でも全然大丈夫だよ!…じゃあさ、後から見返せないけど一緒に写真撮ろうよ!ほら!」
私は、顔の前で手をブンブンと振る下僕の細い手を取り、内カメラモードにしてポーズを撮った。
「いくよ、…はい、チーズ!」
久しぶりに笑顔を作った私と、控えめに微笑みながらピースサインをする0823番の姿が、カシャッと言う音と共に写真へと変わる。
この時、どうして0823番に教わらなかったのに内カメラモードのやり方を知っていたのか、どうして写真を撮る時に“はいチーズ”という言葉が口をついで出たのか、この時の私は疑問に思わなかった。
それからしばらく、私は自分の夕飯や鎖に繋がれた左手首、部屋のドア、0823番の顔などを写真に撮って遊んでいた。
「もうそろそろ、夕飯をお食べになった方が宜しいかと…」
困り顔になった0823番の顔を見て我に返った私は、ごめん、と平謝りをしながらスマホの電源を切った。
「…そういえば、あの画面に映ってた紫色の花は何ていう名前なの?凄い綺麗だった」
2人で食事を再開しながら、私は疑問に思っていた事を口に出した。
スマホの電源を付けなくても脳裏に浮かぶ、あの美しい紫色の花。
私は、顔の前で手をブンブンと振る下僕の細い手を取り、内カメラモードにしてポーズを撮った。
「いくよ、…はい、チーズ!」
久しぶりに笑顔を作った私と、控えめに微笑みながらピースサインをする0823番の姿が、カシャッと言う音と共に写真へと変わる。
この時、どうして0823番に教わらなかったのに内カメラモードのやり方を知っていたのか、どうして写真を撮る時に“はいチーズ”という言葉が口をついで出たのか、この時の私は疑問に思わなかった。
それからしばらく、私は自分の夕飯や鎖に繋がれた左手首、部屋のドア、0823番の顔などを写真に撮って遊んでいた。
「もうそろそろ、夕飯をお食べになった方が宜しいかと…」
困り顔になった0823番の顔を見て我に返った私は、ごめん、と平謝りをしながらスマホの電源を切った。
「…そういえば、あの画面に映ってた紫色の花は何ていう名前なの?凄い綺麗だった」
2人で食事を再開しながら、私は疑問に思っていた事を口に出した。
スマホの電源を付けなくても脳裏に浮かぶ、あの美しい紫色の花。