裸足のシンデレラは御曹司を待っている
ベッドサイドでいきなりハグされてドキドキと胸が高鳴る。でも、コレは優しさに溢れた感謝のハグ。

「直哉さん、私、シンを産んだことを一度も後悔してません。授かれて、とても幸せなんです。子育てって、一人じゃ出来ないんですよ。周りの人たちが支えてくれて、その人たちの優しさに触れて、私自身、人間としても成長させてもらいました。とても素敵な体験をしているんです。だから、これからは直哉さんも子育てを一緒に楽しんでください」

もちろん、夜泣きや授乳で大変な時もあった。熱を出して慌てた事もあった。その時は大変だったのかもしれない。

でも、沖縄には『ゆいまーる』という言葉がある。
ゆい「結い」は、他人との結びつき、まーる「廻る」は、めぐること、順序があるという意味。
「ゆいまーる」は、お互いに助け合い、それがいつか自分が助けられることに繋がる、相互公助の事。
困った時には助けてもらい、楽しく子育てをしてきた。

「そうか、いろんな人に助けてもらったんだ」

「はい、周りの人に恵まれていました」

抱きしめていた腕が、そっと解かれ、直哉の大きな手が私の頬を包み込む。

「今夜は、たくさん話をしよう。今までの事やこれからどうしたしたいのか、ゆっくりでいい。でも分かり合えるように」

直哉はそう言って、私の額と自分の額をコツンと合わせた。
このまま、テレパシーで頭の中にある真哉の赤ちゃんの頃からの映像が、直哉に送れればいいのに……。
そんな事を思ってしまった。




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