裸足のシンデレラは御曹司を待っている
3
美ら海水族館からほど近い今帰仁村の高台にある。白い壁のリストランテ[R]は、一日一組限定の特別なレストラン。
中央に設けられた階段を上がり、ドアを開けばオーナーが温かい笑顔で迎えてくれた。
大きく作られた窓からはヤンバルの緑、その先には東シナ海が見える。


ここのレストラン知ってはいたけど、来るのは初めてだ。こんな、かりゆしスタイルに素足のチグハグな服で来るレストランじゃない。
私的には、誕生日とかプロポーズの日にバッチリとキメて来る特別なレストランだ。
 
柏木直哉にとっては、『気になるから行ってみよう』ぐらいの軽い気持ちで入れるお店なんだ。
あまりにも違う金銭感覚に海岸では感じなかった直哉との隔たりと感じ寂しく思った。
 
店内に一つだけある大きな木目のテーブル席に向かい合わせで腰を下ろす。
メニューはコースの一種類。ドリンクのメニューブックを渡される。

「食前酒は何にする?」

開いたメニューブックの中にあるオススメというのに興味を引かれた。

「シークワーサーの泡盛炭酸割り、本部町の商品なんですね。コレ頼んでもイイですか?」

「もちろん」

ペリエとシークワーサーの泡盛が運ばれ、テーブルにはストゥッツィーノのバケットが置かれた。
「乾杯」とグラスを合わせ、口につける。シークワーサーの爽やかな香りがフワリと鼻に抜け、口当たりが良い。

「美味しい」
思わず言葉に出てしまい、慌てて口を押えた。

< 16 / 179 >

この作品をシェア

pagetop