裸足のシンデレラは御曹司を待っている
「かしこまりました。後、お食事ですが、朝はお持ちいたしますが、昼食、夕食のご用意がございません。提携のホテルからお届けも出来ますが、いかがいたしましょうか?」

「食事は都度相談でもいいかな?」

「ご希望の場所へのご案内は何時がよろしいですか?」

「明日、朝食が済んでから午前中に出発したいんだが」

「かしこまりました。では、何かございましたらご連絡ください。失礼します」

木製の玄関ドアを閉めると足の力が抜け、涙が出そうになる。

はー、きつい……。思っていたより、かなりきつい。
まさか、無かった事にされているなんて……。
直哉にとって触れたくないような出来事だったなんて、夢にも思わなった。

それでもこんな所で泣きたくなくて、歯を食いしばり石畳の道を足早に歩きだす。
空は青く晴れわたり、強い日差しが降り注いでいる。
それなのに手の震えが治まらずにいた。


空に向かって大きく深呼吸をした。
< 30 / 179 >

この作品をシェア

pagetop