裸足のシンデレラは御曹司を待っている
「もういらないの? ママ食べちゃうよ」

「いーよー」

真哉の関心は既におもちゃ箱に向いていた。
お皿上には、息子にかじられ痛々しい姿になったペカチューが哀れな姿になって転がっている。
それをつまんで口の中に放り込む。

「甘っ」

「ママー。ボールなげしよ」

もぐもぐと口を動かす私のほうに真哉が笑顔を向けた。
おもちゃ箱からボールを見つけ、頭の上に自慢げに掲げている。
その顔にホッとして、腰を上げる。

「暗くなる前にお終いだからね」

「うん」

玄関先に出て、ハンドボールぐらいの大きさの黄色いゴムボールをゆるーく投げてあげる。
上手くチャッチできたとはしゃぐ真哉。少し強めに投げたり、上にあげたり、と飽きさせないように変化を出し取れたら大げさに褒める。
親としてはまだ4年生の手さぐりの状態。でも、子育てなんて一生手探りのまま終わる気がする。
愛情はかけるけど、依存せず依存されず、その微妙な匙加減を間違えないようにするのが難しい。
きっと、自分が今わの際に立った時に、子育てが成功したのか、失敗したのか、答え合わせをするんだろうな。
< 56 / 179 >

この作品をシェア

pagetop