裸足のシンデレラは御曹司を待っている
驚いた顔を見せた彼女だったけど、意外にも「ちょっと、待っててください」と言って、木の陰に隠れてゴソゴソとしている。

このまま、この場に居たら覗き見しているみたいで、さすがにそれは、ヤバイ奴決定になってしまう。
先に、素足になってビーチへ繰り出した。
途中、打ち上げられた珊瑚や太陽に焼かれた砂がかなりの難所で、素足は無謀だったかと、後悔しながら波打ち際までとたどり着く。

波打ち際の白い砂は、想像していたよりもきめ細かく、海水を含んだ砂がふかふかで今まで体験したことのない心地よさだ。
歩くたびに足が砂の中にふわりと沈みこむ。

やっぱり、裸足で正解だ。

足元から視線を上げると遥香がキョロキョロと俺を探していた。
「おいで」と手招くと、危なっかしい足取りでこちらに歩いてくる。

ホント、可愛い子猫のようだな。

なんて、思っていたらグラリとバランスを崩しそうになっている。

危ない!
と思って慌てて手を差し伸べた。
すると、転びそうになった彼女が、腕の中に飛び込んで来た。
彼女の髪からシャンプーの甘い香りが漂い、細い腰を支えた腕に力がこもる。

できる事ならこのまま胸の中に抱き留めて、柔らかそうなピンクの唇の感触を味わいたくなる。

< 63 / 179 >

この作品をシェア

pagetop