炎のシークエンス
シーン1.幼なじみとの思い出せない夜
ビシッとスーツできめて。
キュッとネクタイ締めて。
バリバリ会社で仕事をこなす。
そんなビシッ、キュッ、バリバリな会社員が私の理想だ。


今日は合コンで知り合った理想の男性と、初めてのデート。


待ち合わせの駅前に彼の車がやってきた。

ドイツ産のSUV車だ。元々軍用車両だったオフロード用のゴッツイ車。カッコイイ。
だけどこの車はメンテナンスが結構大変。部品交換や修理も高額になるし。


なんて思いつつ、その車に乗った。



「こんにちは、今日はよろしくお願い……」
「クサい!!」


え?

耳を疑った。
初めてのデート、開口一番が、クサい?




たぶん、車には3分も乗っていなかったと思う。


気づいたら、走り去る車を呆然と見送っていた。

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