社長の渇愛
孤独と宝物
「お疲れ様でした」
御笠が後部座席のドアを開け、頭を下げる。

「ん」
「………社長?」
亜伊が、御笠をギュッと抱き締めた。

「え……////」
「お前も、大切な宝物だ」
「は、はい…////」

そう言って、マンションに入っていった。

「僕も、貴方が大切です……
貴方を失わない為なら、何でもしますよ?亜伊様」
御笠も呟き、車に乗り込んだ。


「━━━━━ただいま、心花~
帰ったよ~!」
中に入りながら声をかける。

リビングダイニングに向かうと、夕食がセッティングされていて心花はソファでうたた寝をしていた。

亜伊はフッ…と微笑んで、ネクタイを緩めながら心花の頭上に座った。
優しく心花の頭を持ち上げると、ゆっくり自分の膝に乗せる。そして頭を愛おしそうに撫でた。

「フフ…可愛い……」

しばらく頭を撫でていると、心花が寝返りをうち亜伊の腹の当たりに抱きつく。

「え……ちょっ…この体勢…ヤバいし…////」

しかも、スカートも捲り上がっていて太ももも丸見え。下着が見えそうで、かなり際どい格好だ。

亜伊は身体が反応するのがわかる。

このまま、心花を抱きたい━━━━━

でも気持ち良さそうに眠っているのに、起こすのは可哀想だ。
亜伊は理性と戦いながら、心花の頭を撫で続けていた。


「………んんっ…」
しばらく撫で続けていると、心花が目を覚ました。
「おはよ、心花」
「ん……ん?
━━━━━━━亜伊!!?」

ガバッと起き上がる、心花。

「ただいま!」
「あ、お、おかえりなさい!あれ?私……」
「気持ち良さそうに寝てたよ?」
「あ、そうだ!すみません!ご飯作ったら、安心しちゃって!」
「フフ…美味しそうな料理が並んでるね!」
「待っててください!すぐ、温めますからね!」

ソファを下り、パタパタとキッチンに向かおうとする。
「あ、待って!」
「え?亜伊?」

「抱き締めて、キスしたい。
本当は、そのままベッドに連れてって抱きたいけど……それは、食事が終わるまで我慢するから!」

そう言って亜伊は、両手を広げた。
「来て?心花」
「はい!」

亜伊に抱きつく。
「亜伊の匂い……好き……ん?」
「ん?どうしたの?
次は、キスしよ?」

頬を包み込む亜伊を、不思議そうに見つめる心花。

「亜伊、いつもと違う匂いがします。
香水変えました?」
「え?香水変えてな━━━━━あ!」
「え?」
「竪羽かな?」

「たては?誰ですか?社員さんに、そんな名前の方いたかな?」
< 25 / 38 >

この作品をシェア

pagetop