社長の渇愛
「嬉しいなぁー!ボスとこんな昼間から会えるなんてー!
しかも、彼女まで連れてきてくれた!」

黒滝が嬉しそうに亜伊と心花を見つめる。

(ほんとに、男の人だ……)

「改めて、黒滝 竪羽です!よろしくね!
ボスカノ!」

「あ、はい!
真田 心花です!亜伊とお付き合いさせていただいてます!」
「黒滝」
「ん?」
「もう、あんなメッセージ送ってくんな!」
「え?」

「“会いたい”とか“抱き締めて”とか!」

「えーー!!!だってぇ、寂しいんだもん!」
「お前のせいで、今朝大変だったんだよ!?」

「あ、亜伊!もう大丈夫ですから!
私が勝手に勘違いしちゃっただけで……」
「いや、黒滝!もう送るな!」

「はい、はい…!わかったよ!
その代わりぃー、今抱き締めて?」
両手を広げ、甘えるように言う黒滝。

「心花がいるからやだ!」
「あ……いいですよ。亜伊」
「いいの?」
「だって、相手は男の人だし」

「フフ…ちなみに、僕は亜伊を愛してるよ?」

「え!!?」
(え?え?ラブ的な感情ってこと?
竪羽さんは、男の人が好きってことなの?
………てことは、ライバル!!?)

「やっぱ、ダメです!!」
「心花?」
「亜伊は、私のです!」
心花は横から亜伊に抱きつき言ったのだった。

「ハハハーーーッ!!」
黒滝が腹を抱えて笑う。

「え?」
「ごめんね、ボスカノ!
冗談だよ!愛してるってのは、友人として!
僕には、ちゃんと女がいるよ?」

「え?そうなんですか?」
「うん!大丈夫。安心して?
ただ僕達は、特別な関係だから」

「え……」

「僕と、亜伊と敬吾は、三人で寄り添って生きてきたから。
お互いがお互いを、宝物みたいに思ってるんだよ」

「それってどうゆう……」

「俺達は、施設で育ったんだ」
「え?そうなんですか?」
「うん。あの頃はいつも、三人でいたな」
「そうだね!亜伊がいつも、僕と敬吾を守ってくれてた」

「いつも三人でいても、孤独だった。
信じられるのは、竪羽と敬吾だけだったから」

「そうだったんですね……
それで、結びつきが強いんですね!」
「まぁな!」

「あの頃から、亜伊は僕や敬吾を抱き締めてくれてたの。変かもしれないけど、僕と敬吾はそうされると、凄く安心するんだ。
何て言うのかな?」

「家族みたいな感じとか?」

「あー、そうだね!そんな感じ!」


“心花は、親に愛されてるんだろうなぁ”
不意に、亜伊の言っていた言葉を思い出した。
あの時の亜伊は、とても切なそうだった。

「あの!亜伊」
「ん?」

「私、亜伊のこと愛してますから!」

「え?」
「亜伊に“あんな顔”させないように、頑張ります!」

「心花…」
亜伊は、自身の髪の毛をクシャッと掴み俯いた。

「これ以上……俺を狂わせないで……?」



あぁ……喉が渇く━━━━━━━
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