【短編】今宵、君の腕の中
頭に浮かぶのは、1週間前の光景。
私よりも格段に大人でキレイな女の人が、隼の隣を歩いてた。
隼が私を避けてた、なんて聞いて……いろんな考えが浮かんだけど、答えはそこにしか行き着かなかった―――
「ねぇ、ちゃんと教えて?
私…、隼の“幼馴染み”に戻らなきゃいけないの…?」
縋るように隼に抱き着いてみても、不安なんか拭えなくて。
私と隼の距離は、
本当に“恋人”としてのモノ…?
「姶良?……ちゃんと話すから、聞け。」
私を抱き締め返して、髪の流れに沿って頭を優しく撫でることで私を落ち着かせようとする隼に、更に強く抱き着いた。
……離れたくなんかない。
幼馴染みには、
やっぱりもう戻れない……