仕方なく結婚したはずなのに貴方を愛してしまったので離婚しようと思います。


「ん? 穂乃果もコーヒーのむ?」
「い、いえ、結構です」


 見ていたことがバレてなんだか恥ずかしい。穂乃果はむしゃりとバターロールにかじりついた。


「穂乃果、もう体調はいいんだよね?」
「はい、お陰様で。その説はお迷惑をおかけしました」
「いや、全く迷惑とかでは無かったよ。むしろちょっと弱ってる穂乃果が凄い可愛くて――」


 んんっ! と咳払いして玲司の言葉を妨害した。さらさらと恥ずかしい言葉を言うのだから、きっと良い慣れているのだと思うけれど穂乃果は違う。言われ慣れていないから対応に困るのだ。


「じゃあ、今日はちょっと出かけたいところがあるから僕に付き合ってくれるかな?」
「え、でも仕事は?」
「今日は休みなんだ」
「そうですか、まぁそれなら」


 面倒かけてしまったし、買い物くらいは付き合ってやろう。そのくらいの軽い気持ちで返事をした。そう、軽い気持ち。



< 52 / 170 >

この作品をシェア

pagetop