仕方なく結婚したはずなのに貴方を愛してしまったので離婚しようと思います。


 玲司は必ず「美味しい」と言ってくれる。それがちょっとだけ玲司の良いところだと穂乃果は思ってしまうほど美味しいと言われるのはやっぱり嬉しい。作った甲斐があるってやつだ。それに玲司はとても綺麗にご飯を食べる、お箸の持ち方はもちろん米粒も一粒も残さずに食べ、この前焼き魚を出した時は綺麗に骨を取っていた。
 今日も米粒一つ残さず玲司は綺麗に平らげた。


「ご馳走さまでした。今日もとても美味しかったよ。じゃあ、僕は少し部屋に篭るね」
「わかりました。相談があるんですけど時間ありますか?」
「もちろん。どうしたのかな?」
「あ〜、じゃあお皿を片付けてから部屋に伺います」


 お皿を洗う穂乃果の頬に「待ってるよ」とキスを落とした玲司。


「なっ……!」


 穂乃果の反応を見て満足そうに玲司は階段を登っていった。甘い雰囲気でも無かったはずなのに、本当にキザな男だ。けれどそのキザな男の行動にドクンと心臓が跳ね上がったのはきっと気のせい。


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