天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
 島津啓介、三十二歳。

 アメリカ帰りの脳外科医。実家は一部上場企業の大手ゼネコンの創業者一族という超がつくセレブの御曹司だ。

 しかも見ての通りイケメンというオマケつき。

 お見合いの話を父から聞いたとき、簡単な経歴書のほかに写真を一枚渡された。彼の職場の大学病院で撮ったという、私の父と島津さんが並んでいるスナップショットだった。

 身長が一七〇センチの父よりも十センチ以上背は高く、すらりとした体躯。鼻筋はよく通り、目もとは涼やか。削ぎ落とされたような綺麗な顎のラインといい、モデルと言っても通るビジュアル。写真の彼は白馬ならぬ白衣がよく似合っていた。

 今はがらりと変わって着物姿だが、すごく素敵。思わず溜め息が漏れるほど、立ち居振る舞いも座り方も堂に入っていて、さすが生粋の御曹司だと感心せざるを得ない。

「島津啓介です」

 ゆっくりと流れるように、彼は頭を垂れる。

 滲み出る品格に早くも圧倒され、喉の奥が苦しくなってくる。

「山上莉子と申します」

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