天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
「莉子が断られるわけないだろう。自慢の娘なのに」

「でた。親バカ。もうやめて」

「いいじゃないのね。親バカで」

 あははと三人で笑うのはいいとして、私はちょっと恥ずかしい。

 身長一五八センチの中肉中背。丸顔で目尻が下がっているせいかいつまでも子ども扱いされてしまうよう普通女子。私は昔からかわいいとは言われても美人とは言われない。

 それでも両親の目には世界一の美女に映るようだ。

 やれやれと密かに溜め息をつくうち、鶯張りの廊下からきしむ音が響いてくる。

「ん? 来たかな」と父が廊下を振り向いた。

 いよいよ、お相手の登場だ。否が応でも緊張が増してくる。

 目をつむり息をゆっくりと吐いて気持ちを落ち着けた。

 今日は予行練習だと自分に言い聞かせる。断られても傷つかないように心構えをしよう。

 間もなく襖が開いて、その人は濃紺の着物姿で現れた。

 恐る恐るまぶたを上げ、テーブルを挟んだ目の前に来た彼の、予想外の出立ちにハッとして目を奪われる。

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