天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
 日に日に成長するこの子のように。私もがんばらなきゃいけないよね。

 病院の経営は、院長に教えてもらいながら専門家を雇ってもいいし。弁護士さんにも相談してみよう。

 とにかく私も経営の勉強しなきゃ。

「乃愛ちゃん、ママがんばるからね。乃愛ちゃんを背負ってスーツ着ちゃおうかな」

 乃愛を抱き上げると、外から車が入ってきた音が聞こえた。

 

 来客なんて珍しい。

 長野に行ってから半年以上が経つのでほとんど客は来ない。宅配業者かなと耳を澄ませているとインターホンが鳴った。

 今この家にはサトさんともうひとりの家政婦がいる。どちらかが応対に出ているはずだが、二階のここでは聞こえない。

 間もなく階段を上がる音が聞こえて、ノック音と共にサトさんがにっこりと顔を出した。

「お嬢様、啓介さんがお見えですよ」

「えっ?」

 予想外過ぎて固まってしまったけれど、すぐに思いあたった。

 離婚届を持ってきたのかもしれない。

「リビングでお待ちです」

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