天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
 でも、大丈夫なんだろうか。

 昨日、啓介さんは乃愛を一瞥しただけだった。とても冷ややかな目で。

「さあ乃愛ちゃま、パパに抱っこしてもらいましょう」

 サトさんは啓介さんに乃愛を抱かせる。

「のあちゃん?」

「乃愛って言うんです」

 指で字を書きながら、あきらめて私が答えた。

 啓介さんは抱いた乃愛を愛おしそうに見つめる。

「こんなに小さくても福耳だってわかるんだな」

 福耳……。ちゃんと気づいてくれたの?

「昨日はあんな態度を取ったが、彼も莉子も福耳じゃないし。俺の子なんじゃないかと思ったよ」

 そうだったの。

 一瞬に思えたのに、乃愛をちゃんと見ていてくれた。

 彼は自分の指を乃愛に握らせてうれしそうに笑う。

「昨日はみっともないところ見せちゃったな」

「え?」

「いざとなると冷静ではいられなかった」

 啓介さんは、少し恥ずかしそうに照れ笑いを浮かべる。

「それは、私が」

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