天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
 母はあっけらかんと言う。

「まあいいじゃないの。それを乗り越えないと再婚は無理なんだし」

 確かに、それはそうなんだけれど。

 

「いってらっしゃーい」

「バイバイ」

 母に手を振る乃愛を抱いてタクシーに乗る。

 向かう先はホテルコルヌイエだ。

 お互いに結婚歴のあるいい大人だから、啓介さんのときのような堅苦しいお見合いじゃない。乃愛を連れているから服装も普段とあまり変わらないワンピースだし、お相手と私と乃愛だけで会ってお食事をするという気楽なものだ。

「乃愛? 今からね」

 キョトンと私を見るこの子にどう説明したらいいのか。

 パパになるかもしれないなんて言ってもわからないだろうし、困った。

「おいしいご飯食べようね」

 無理だ。うまく説明できない。

 待ち合わせはホテルの一階ロビー。入口から一番近くのソファーか、その周辺だ。

 お互い顔は写真でしか知らないけれど、二歳の女の子を抱いている女性はほかに見あたらないから大丈夫だろう。

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