天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
 問題は乃愛がパパと言い出さないか、それだけが不安だけれど、タクシーを降りてロビーへ入る。

「キラキラ」

 ロビーの大きなシャンデリアに乃愛が目を奪われる。

「ほんと、綺麗ね」

 その調子でパパと水族館を忘れてくれれば。

「乃愛、お花も見てご覧、綺麗よ」

「おはな」

 話しながら進むと、お相手の彼はすでにいたようだ。写真で見た通りの男性が、私を見てソファーから立ち上がった。

「山上莉子さんですよね」

「はい。今日はよろしくお願いします。乃愛です。乃愛、ご挨拶して」

 覚えたての「こんにちは」を言って乃愛はぴょこぴょこと頭を下げる。

「かわいいですねー。こんにちは乃愛ちゃん」

 お互いの簡単な紹介を済ませてレストランへ向かう。

 乃愛はひよこ園に行くようになってから随分人見知りをしなくなったが、今日は人見知りモードに入ってしまったらしい。自分で歩こうとせず私の胸に張りついている。

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