天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
 でも、考えてみれば啓介さんの書斎はいつも綺麗だ。毎朝一時間くらい籠もって調べ事をしているようなのに、お掃除しようと思っても片付けるところがない。仕方なく気休めに棚の上をホコリ取りでなでるだけである。

 啓介さんはパーフェクトヒューマンだ。

 あ、でもサンドイッチに入れるキュウリのピクルスは苦手なんだよね。

 チマチマと取っていたのを思い出し密かに笑う。今のところ私が知る彼の唯一の弱点だ。

「莉子は? 家に家政婦がいる割には家事がうまいよな」

「ふふ、ありがとう。うちの家政婦さんは厳しくてね、散らかすと怒られたの」

「へえー、そうなのか」

「料理学校も少し通ったけど、私が作る料理は、ほとんど家政婦さんに教えてもらったものなの」

 聞けば啓介さんの家の家政婦さんたちは、皆おとなしい方ばかりらしい。

「実家の家政婦に注意された記憶なんかないな」

「啓介さんがいい子だったからよ」

「それはどうかな……」

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