オオカミと父親 ひねくれた純愛(おまけの小話・その3)

キスチャレンジ


車は小高い山の見える場所で、
高速道路から降りて、
湖に沿った道路を走る。

湖はなだらかな丘に囲まれて、
大きな広葉樹林の森が周囲を囲んでいる。

地元のデートスポットで
有名な場所だ。
「うちの牧場はこの先、
あの丘の越えるとあります」

「すごくきれいな場所だな」
教授は、ずっと景色を眺めていた。
「そうですね。
秋は紅葉がすばらしいです」

俺は湖のほとりの空き地に
車を止めた。
「ここから歩いて5分ほどの場所に、一番いい眺めが見える場所があるんです」

俺は教授を促した。
先ほどのキスは未遂に終わったが、今度は決行する。

俺は車を降りて、助手席のドアを開けた。

ファーストキスは、美しい場所がいい。

俺は教授の手を握って、速足で歩き、教授は、やや遅れがちについてくる。
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