オオカミと父親 ひねくれた純愛(おまけの小話・その3)

オオカミと父親

館に戻ると、
俺はすぐに教授を、客用寝室に
連れていった。

「シャワーを浴びて、
その後、足首の状態を見ましょう」

教授は、客用寝室の洗面所で、
ドアに寄りかかり、片足で立っている。
折れたヒールの靴と、
バックを片手に下げたままだ。

「大丈夫ですか?
ああ、着替えを手伝いますか?」

俺が、胸の谷間に視線をやったのに、気が付いたのか

「そのくらいできるっ・・」
教授の、声の最後は弱く、
明らかに落ち込んでいるのが
わかった。

「棚にバスタオルがあります。
あと、バスローブも使ってくださいよ」

「うん・・ありがとう」
教授は、手をあげて、俺を押し出した。

「じゃぁ、終わったら、すぐに出てきてくださいよ。
湿布しますから」

俺は洗面所から出ると、
自分の部屋まで着替えに走った。

台所の薬箱に、湿布も入っているはずだ。
準備をしておかなくては。

俺は、客用寝室の前の廊下で、
薬箱を抱えて、
教授が出て来るのを、待っていた。

カチャン・・・

ドアが開いて、
タオルをかぶり、バスローブ姿で、教授が出て来た。
壁に手をついて、片足を引きずっている。

俺は、すぐに椅子を置いて
「さぁ、座って、足を見せてください」

俺は、椅子に座った教授の前に、
片膝をついて、
足首に巻いてある金の鎖を、はずした。
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