オオカミと父親 ひねくれた純愛(おまけの小話・その3)

エドナへの説明


車は、木立を抜けて、館に通じる小道に入った。
木々に隠れながらも、館が見える。

「ああ、南部特有の建築様式なのだな」
教授が言ったので、俺は答えた。

「古くて広いばっかりで、
中はガタガタですよ」

「由緒ある家なのだろうな」
「まぁ中はかなり手を入れて、
リフォームをしていますがね」

親父はエドナのために、
相当に金をかけて、内装を一変させたのだ。

エドナも、前の女主人の物を、
いや、痕跡を、見たくはないだろう。

俺は玄関に立って、
大きな馬蹄形のドアノッカーを、
ガンガン叩いた。

「エドナ、俺だよ。ただいま」
ついでに、
ドアの脇にかかっている
牛の首輪にかかっているベルを
ジャンジャン鳴らした。

ドアが開いて
「ああ、アレク、おかえりなさい・・・」
エドナが出て来た。

シフォン素材のかげろうの
羽のような、薄い緑のドレスを
着ている。

40歳を超えているが、美しい。
ミスコン荒らしだったのは、
うなずける。

エドナは、
俺の背中に隠れるように
立っている教授を見て、くっと
息を呑んだ。

「あの・・こちらの方は・・?」
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