妖の街で出会ったのは狐の少年でした

25話 冬休み明け

次の日からまた、大忙しだ。
団体客が多く、休憩もほとんどできず、
お正月もあまりのんびりできなかった。
三箇日が終わりやっと、客足が徐々に穏やかになり、休憩も取れるようになった。休憩中はのんびり・・・
「できませんよ。カズハ様」
ロクが宿題を持って部屋にやってきた。すっかり、宿題のことを忘れていた。
「疲れているのはわかりますが、終わらせないとまずいんですよ。
終わらせないとヨナガ先生から罰があるんです。」
「罰?」
「毎月、月の初めに渡されるプリントがありますよね。あそこに冬休みの宿題未提出者として、載ります。」
(精神的に痛いやつだ)
(ヨナガ先生の脅し文句なだけ
かもしれないが)
そこから30分休憩の間、宿題を少しずつ片付け、たまには徹夜をした。
「お疲れ様です、カズハ様。全て片付きましたね」
なんとか始業式の2日前には終わらせることができた。
客足が落ち着いてきたから明日は午前
のみで午後はゆっくりしていいと、ナグモさんが半休をくれた。
午後は部屋でのんびりしながら、明日の準備をする。
そして冬休み明けの登校日ーー
「おはよーカズハおねーちゃん」
座敷童のチヨ
「おはよー」
雨少女のスイウ
「はよ、カズハ」
ろくろ首のジュン
「おはよう、みんな」
「そいつ/そのおにーちゃん、
 誰?/だぁれ?」
チヨたちの声が重なる
「俺に向けた開口一番がそれですか?」
「そのしゃべり、ロク?」
(うわ、ロク。すげー美男子、自分で思って、すげー悲しくなるのはなんでだろ)
「ロクおにーちゃん、
もうあれつけないの?」
「はい、もう必要ないですから」

ヨナガ先生が教室に入ってくる
「皆さん、おはようございます。
そしてあけましておめでとうございます。早速ですが、宿題の提出を・・」
ヨナガ先生がロクと目が合う。
先生は目を見開いたがすぐに、優しそうな顔になった。
(やっと、打ち解けてくれましたね)

ちなみに宿題の未提出者はいなかった。
今日は、授業ではなく掃除をしたり
配布物を仕分けたりをする。
チヨが水の入ったバケツを
ひっくり返したり、ジュンがワックスの床に滑り運んでいた配布物をばら撒いたりと、ハプニングはあったが掃除は終了
配布物の配布は特にお咎めもなく終わる

やることが終わったので、今日は終了。
各々、帰り支度をして学校を出る。
私たちは宿に帰り、準備をする。
着物の着付けは自分でできるようにし、帯だけロクにしてもらうようお願いにした。
最近団体客が多い中、二名のお客様だ。
私と同い年くらいの女の子と母親らしい女性。
名簿には、ナツキと書かれていた。
ナツキさん・・・
またどこかで会うかな

その再会はきっともうすぐ。

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