妖の街で出会ったのは狐の少年でした

43話 約束

「人間」
おじさんが呟いた。その瞬間おじさんの目が鋭くなった。
「人間の男の嫁になるって。正気か?」
この町は人間に関してあまりいい印象は持っていなかった。
横からおばさんが口を出す
「あなた、娘にそんな正気なんて・・・」
「私は気になったことを聞いているだけだ
私たちとは生きる時間が違うことぐらいわかっているだろう」
「分かっています。そのことは先程ナグモ
にも聞かれました。覚悟の上です」
ルイは凛とした声で反論した。
「私は人間の嫁にするために継承したわけじゃない」
人間になる術、人間の世界にいくには人間の姿にならないと絶対行くことはできない。
その術は遥か昔、この国を統べる3人の妖たちが生み出し、生まれた初子のみ伝え
また生まれた初子のみ伝えを繰り返し
この時まで受け継がれていると
授業で聞いたことがある。
「ナグモちゃんは、ルイが嫁に行くのを
なんとも思わないのか」
おじさんの低い声に背筋がゾッとした。
人間の世界にいくのは文化を取り入れるため
でも嫁、婿に行くとなったら話は別だ。
この世の理に反しているとされ、幽閉
された子がいると風の噂で聞いた。
親が許可した場合妖力は奪われて、二度とこの世界には戻ってこれない。
私は
「正直に言ってルイが人間の方と結婚したいと言った時はショックでした。
でも、理に反した道に進みその先に彼女の
幸せがあるなら私は全力で背中を押します」
「ナグモ・・・」
しばらくおじさんは考える素振りをして
口を開く
「正直、親の顔に泥を塗った。
先祖さまが繋いできた歴史を途絶えさせた。とか言いたいことは山ほどある」
ルイの肩がビクッとはねた。
そして俯いた
「でも、それ以上に親だからかな。
ルイの幸せを願う気持ちの方が大きいんだ」
おばさんが、後に続ける
「ルイはずっと私たちの希望通りに育ってくれた。弱音を吐かず、反抗せずに。
はじめて、自分の意思を貫こうとしている
それが嬉しいの。」
「母さん」
「娘の門出を祝えない父親がいるものか」
「父さん」
チラッとルイの方を見ると、顔を綻ばせていた
「白無垢姿を見せることも、孫の顔を見せることもできない親不孝者でごめんなさい。
今までありがとうございした」
ルイは頭を下げて言った。

ルイは私を家に送ってくれている道中
「ありがとうね、ナグモ。来てくれて」
「いいよ。私、結局何もできなかった」
私が意気消沈していると
「そんなことないよ。全力で背中
押してくれるんでしょ」
ルイは少し悪い顔をして言った
「もちろん」
精一杯のエールを送るよ。ルイ

それから2日後、ルイはこの世界から
出て行った。
出て行く前に
「最初で最後のわがまま言ってもいいかな」
「いいよ。なんでも言ってよ」
「あのさ、」
軽く了承したわがまま。
それがのちの足枷になるなんて
思いしなかった







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