妖の街で出会ったのは狐の少年でした

81話 お菓子の塔

パーティーの日少し早めに学校に行くと数人が来ていた
「おはよう、ジュンにーちゃん。」 
天狗のチビは生き生きと言った
机の上には沢山のお菓子が並んである
「おはよう、」
「ジュンにーちゃんもやる?」
「なにを・・」
今度は少し悪い顔になった
「その話、乗った!」
悪い顔をするときは大抵面白いことだ。
数分後
「何やってるんです、人の机で」 

俺たちが廊下を歩いている時から騒がしい声が聞こえてくる。
「何か聞こえる」
カズハ様も聞こえるらしい。
時折、笑い声も聞こえて来る
「大方、何か悪戯をしているんでしょう。ジュンが発案者でしょうね」
「だろうね」
教室に入ると、俺の机の周りに人だかりができている。
「何やってるんです、人の机で」
俺の机にはお菓子の塔ができていた。
「あ、ロク、おはよう。カズハも」
動揺するかと思ったがそんなそぶりはなく生き生きとしていた。
呆れるが、少し興味がある
「おはようございます」
「おはよう」
「で、なんで俺の机に塔が立っているんですか」
「あー、チビたちが言い出して、俺も面白そうだなって」
俺の問いにジュンは少し申し訳なさそうに答えた
「やっぱりあなたじゃないですか」
「え、言い出したのはオレじゃない。」
「同罪ですよ。と、いうか教卓でやればいいのでは?」
「先生に怒られるだろ?それに取り上げられるかも」
「怒られるようなことをするからでしょう?それとも
俺は怒らないと思ったんですか?」
「いや、怒りそうだけど、興味持ちそうだなって」
ジュンは間髪入れずに答えた
(当たってる)
「ねぇ、止めなくていいの?」
カズハ様がおずおずと聞いてきた。
カズハ様が指を指す方を見ると、かなりの高さになっていた。

「あ、お前ら、調子乗りすぎだ」
「いや、ジュンの監督不行き届きのせいでもありますよ」
「まさか、数分でここまで高くなるなんて思わねえだろ?」
天狗のチビは安易に飛ぶことができる。
確かに俺の監督不行き届きかもしれない。
取り上えずやめさせて、ロクの椅子を借り、手の届くところのお菓子を掴み
その上に乗っているお菓子も落とさないように慎重に取る。
そこから少しずつお菓子を取り、授業開始前になんとか壊すことができた。
鐘が鳴り先生が入ってきた。

「おはようございます。どうしたんです?ジュンさん。何か疲れてませんか?
ロクさんとカズハさんも」
「いえ、なんでもありません」
カズハが瞬時に答え何事もなかった終わった、ように思えた。
「そうですか、私はてっきり塔を壊すのに時間がかかり焦ったように見えます」
(((え・・・あ、千里眼)))
先生は笑顔だったが、笑顔が逆に怖い。
まるでナツキと同じようだ
「まぁ、ジュンさんは卒業しますからね。羽目を外したかったのはわかります今回は大目にみますよ。」
(よかった)
オレが胸を撫で下ろすと
「誰が説教しないと言いました?」
「え?」

それから、オレとチビたちは先生に怒られた。
「調子に乗って後輩の悪戯に加担するなんて、羽目を外しすぎですよ」
「反省しています」
「あなたたちも。お菓子の塔が崩れて誰が怪我したらどうするんです?
周りのことも考えることができないのは良くないですよ」
「ごめんなさい」
「まぁ、誰も怪我しなかったんですから良いじゃないですか。
私もお菓子の塔見たかったな」
「甘やかさないでください、校長先生。
ダメなことはダメとしっかり教えとかないと。
問題が起こってからじゃ遅いんです」
急に現れた校長先生に驚くこともせず、
冷静に先生は釘を刺す。
説教は終わりパーティーは開幕。


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