妖の街で出会ったのは狐の少年でした

89話 入れ替わり

ホワイトデーから特に変化はなく、5月。
ロクの誕生日が近づいている。
1人で悩み、悩み続けた結果、ついに明日まで迫ってしまった。、
「どうしたらいいでしょうか。ミズキさん」
助けを求めてミズキさんのところへ。
「アタシに言われてもね。アタシはロクとほとんど関わりないしなぁ。
カズハが1番長いんじゃないかな、ロクといるの」
「そう、でしょうか。でも」 
「誕生日を祝うのってプレゼントだけ?」
ミズキさんは呟く。
「え?」
「確かにプレゼントも大切だと思うけど、その相手とどう過ごすかが大事なんじゃないかな」
「どう過ごすか・・・。ミズキさん、もう少し考えてみます」
「うん、その方がいい」
と言ってもどうしよう、直球的に聞いてみるか。


「ねぇ、ロク。今欲しいものってある?」
きょとんとした顔で
「欲しいもの、ですか?今はとくにこれといったものは」
駄目か。
「欲しいものというかやってほしいことはあります。」
「なに!?」
私の声色が変わったからかクスクスと笑った。
「明日1日だけ立場を逆転してくれませんか?」
「立場?」
「はい、俺が主でカズハ様が使いになる。駄目、でしょうか?」
だんだんロクの声が小さくなる。
ーどう過ごすかー
「承知しました、それが貴方様の望みなら。なんてね」
次の日
「本日はいかがなさいますか、ロク様」
「随分乗り気ですね」
ロクは少し引き気味だけど私としては
新鮮で楽しい。
「今日はお互い仕事がございませんので、
お出かけなんていかがでしょうか?」
しばらく考えて
「そう、だね。じゃあ今日は俺に付き合ってよ」
敬語を外したロクは年相応に思えた。少し戸惑いながらも
「ええ、ご一緒させていただきます」
それから私とロクは、電車に乗り
「行き先は決めておられるのですか?」
「遊園地に行こうかなって」
「遊園地ですか」
「意外?」
ロク少し口を尖らせる。
「いえ、そんなことは全く」
「冗談だよ」
焦る私をみてロクはふわりと笑った。
駄目だ、ちょっとときめいちゃった。
「どうしたの?」
「なんでもありませんよ」
見透かされてそうで怖いな。
そしてついた遊園地。
ミズキさんときたところとは違うところだ。
あの時の、レトロ感はほとんどなく、ジェットコースターが下る時と共に聞こえる叫び声
各アトラクションで流れる音楽が混ざって、どこか懐かしい気がする。
チケットを買い、ロクに渡そうとした。
「あ、お金」
ロクはお財布を出そうとしたが阻止する
「大丈夫ですよ。」
そういったがロクは頑に払うと言う。
折れた私はお金を受け取りチケットを渡す。
「さて、どこからまわりますか?」
「観覧車」
そういって先を歩く。
ロクはいつも後ろの方で見守るような感じだったから
率先しているのはなんか不思議な気分だ。
観覧車に乗り、扉の閉まる音がすると途端に静かになる。
ロクは窓の外をぼんやりとみている。
私は反対の窓から景色を眺める。
「あのさ」
観覧車が頂上に到達来る頃、ロクは聞いていた。
「なんでしょうか」
「観覧車の都市伝説、知ってる?」
都市伝説、前にミズキさんが言っていたことか?
「、いいえ、私は存じあげません」
「そっか」
ロクはそう言い、会話は終わった。
観覧車を降りてからは何事もなかったように
「次あれ、乗りたいけどいいかな?」
と言った。ロクが指差したのはジェットコースターだった。
「いいですよ。いきましょうか」
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