火の力を持つ国王様は愛も熱い
番外編 雷のお姫様





近年。
隣国、アヴァンカルド王国は国民想いな王族により王国全てにおいて安定した王国となっている。


はるか昔、我が母国ライマーレ王国もアヴァンカルド王国と同じくらい豊かな王国だった。


そう。かつての話だ。


現在のライマーレ王国はかつての豊かさなど微塵も残っていない王族ですらギリギリの生活を虐げられている。


遠い昔、今は無き水の国との戦争以来この国では雨が降らなくなった。


そして、唯一の水源はアヴァンカルド王国から供給される雪解け水のみ。
水の国を滅ぼしてしまった呪いなのか、ライマーレ王国の国領内にはアヴァンカルド王国に降り続ける雪すら降ることはなく、人々の頼りとしている王族の雷の力は代々弱まっている。


そして、この国を最も苦しめているのはアヴァンカルド王国に雷の力が弱っている事を悟られない為、外側だけ電気を光らせる動力発電
だ。


昔は王族が雷の力を定期的に供給するだけだったけれど、現在電気を供給出来るほどの力のある王族は一人もいない。


外側の電気だけは止めることは絶対に許されず、ライマーレ王国の国民は交代で動力発電に協力する義務が課せられていた。


そして、我が国ライマーレ王国は最終手段として戦後水源の供給以外一切関わる事のなかったアヴァンカルド王国へ友好関係を築く事となった。


友好の証として国王の次女であり王族の中で最も雷の力が弱い私の身はアヴァンカルド王国へ置かれる事となった。


そして、アヴァンカルド王国では雷の力が失われつつある事は絶対に悟られてはいけない。


雷の力がない崩壊寸前のライマーレ王国ではアヴァンカルド王国が友好関係を結ぶに等しく思わない可能性があるからだ。


友好関係を結ぶ条件として自ら私を差し出したのもライマーレ王国から差し出せる物が娘くらいしかないのだ。


上手いことアヴァンカルドの王族と縁談でも勝ち取れれば強い繋がりを持つことも出来る。


< 127 / 162 >

この作品をシェア

pagetop