火の力を持つ国王様は愛も熱い
薬師



エドワード王様の専属使用人になってから1ヶ月が過ぎた頃の事。



覚える事はまだまだ沢山あるけれど、やっと仕事に慣れてきた。



エドワード王様と朝食を済ませて、食器と洗濯物の片付けをしていると後ろから誰かが抱き着いて来た。



「エーマ!おはよう!」

「やっぱりアル君だぁ…おはよう」



アル君というのはエドワード王様のお薬を製薬している薬師のお孫さんのアルフレッドという名前の11歳の男の子だ。


最近エドワード王様のお薬を取りに行くという重大なお仕事を任される様になり、そこでアル君と知り合って懐いてくれるようになった。



アル君も赤ちゃんの頃に両親が亡くなっていて、お爺さんに育てられている。
境遇は違うけど同じく両親を亡くしているからか何か通ずるものがあるのかもしれない。


アル君のお爺さんはエドワード王様のお薬を作る事が出来るただ一人の人だ。
かなり昔の事だけど、過去にも王族でエドワード王様と同じく火の力の強い人がいたそうで、当時もアル君の御先祖が対処に関わっていたらしい。

また対処法は火の力の強い王族が生まれた時の為に受け継がれていて、エドワード王様の命に関わる事なので門外不出となっている。


そんな大事な人のお孫さんであるアル君はほとんどの人は詳細を知らないけれどお城を自由に出入り出来る。



「ここまで一人で来たの?」

「うん」


するとアル君は私に耳打ちをする。


「今日はエマ一人で来る日だろ?じいちゃんがまた来る途中で怪我したら大変だから迎えに行ってやれって」

「う……心配かけてごめんね…」



アル君とお爺さんの家は立ち入り禁止区域にあって、関係者以外は立ち入る事が出来ない為道中罠が仕掛けられている。


前回一人で薬を取りに行った時、罠を踏みそうになったところ避けたら途中で転んでしまって怪我をしてしまった。


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