火の力を持つ国王様は愛も熱い



お城を出て城下町に向かう途中アル君はすごくご機嫌だった。


「アル君ご機嫌だねっ」

「うん!だってさ、働いてお金もらうの初めてなんだ!」


そういえば私の時はお城で働き始めたのは子供の頃だったけど、お給料は全部おばさんのところに支給されてたから実感なかったな。


今でもお給料は全部おばさんのところに支払われているけど、お城で働いている限り衣食住は心配ないし、必要な物は支給してもらえるから不自由はしていない。


「そっかぁ、そのお金で何買うの?」

「じいちゃんにプレゼント買うんだ、一人で俺の事育ててくれていつも自分の事後回しだからさ!」

「えぇ!?それお爺さん絶対に喜ぶよ!アル君優しいね」

「ふはは!俺に惚れたら嫁にしてやってもいいいぞ!」

「ふふっ…アル君が大きくなってからね」


たまにちょっとマセた事を言うアル君が可愛かった。


城下町のお店に着くと、アル君はプレゼントを悩んでいた。


「うーん…じいちゃん何なら喜ぶんだろ?服はこのコインじゃ買えないしなぁ」

「アル君がくれる物なら何でも喜んでくれると思うけど…そうだなぁ、この手袋は?」

「あ!それが良い!じいちゃんの手袋もうボロボロなんだよ」


手袋を買って私達は城下町の裏道を抜けて、郊外に行くと周りに人がいない事を確認してから立ち入り禁止区域に入った。


しばらく荒れた山道を進んで、ツタで覆われた隠された入り口から入り組んだ洞窟を抜けた先にアル君の家がある。


洞窟の入り口に着くとツタが捲れていて入り口が見えていた。


「あれ?出る時ちゃんと戻したのに…そうだ!商会の会長のじじぃかも!アイツ何回言ってもここ戻さないんだよな」



商会の会長というのは同級生だったヴァルのお父さんだ。


製薬で使用する材料の仕入れの関係で出入りをしていて関係者の一人だ。


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