火の力を持つ国王様は愛も熱い


王子様で間違い無いけど…ローレンス様王子様だ…。

いつもおちゃらけている姿しか見ていなかったのでなんとなく新鮮だ。

「……ふんっ」

リリィ姫様は鼻を鳴らすとぷいっと横を向いてしまった。
すると、リリィ姫様の付き人が慌ててリリィ姫様の後ろにつく。

「ひ、姫様…ローレンス様にお応えを…」

「……あ!エドワード王様、この度はお招き頂きありがとうございます。お初にお目にかかります。リリィ・フランチェスタでございます」

なんとローレンス様を無視してエドのところへやって来てドレスを広げて深々と挨拶をした。

!?

その行動に周りは動揺している。

「あ…あぁ、リリィ姫。長旅御苦労であった。歓迎するよ、長旅で疲れているだろう?自室へ案内させるから夕食の時間までゆっくり休むと良い」

リリィ姫様は先代国王様にもちゃんと挨拶をしていたけれど、ローレンス様だけは完全に無視だ。

リリィ姫様の自室へのご案内等は親交を深める為ローレンス様がする予定だけど…

「リリィ姫様、ご案内は私が致します」

ローレンス様はそう言ってもう一度リリィ姫様の横に立った。
すると、リリィ姫様と目が合ってしまう。

「……わぁ!あなた、エドワード王様の使用人の方?」

「はい、エマ・シャレットと申します。リリィ姫様とお会い出来て光栄です」

「とっても美しくてビックリしました!御案内お願い出来るかしら?」

「え……それは」

「リリィ姫、エマは兄上の専属の仕事忙しいから僕が案内するよ」

ローレンス様は改まるのを止めて、私の間に割って入った。

「リリィ姫、ローレンスは君に会うのを楽しみにして城の中の案内の準備を随分前からしていたから案内させてやってくれないか?」

エドはそう言ってリリィ姫様の頭をポンと撫でた。

「……わかりました」

リリィ姫様は不満そうな顔でそう言った。

ローレンス様とリリィ姫様を残して私達は広間を後にした。

「ローレンス様がリリィ姫様の為に準備していたなんて」

「準備していたかは知らん。そんな話俺とローレンスとするわけがないだろ?プレゼントくらい用意してるとは思うが、あまりに顔を合わせようとしないから流石にローレンスが気の毒だっただけだ」

「そうですか…」

「まぁ、あいつならどうにかするだろ。作法の教室リリィ姫も一緒に受けさせるから仲良くしてやってくれ」

「はい」

専属メイドの作法の教室とは別にエドと結婚するに当たって王族の作法の教室を受ける事になっていた。

リリィ姫様と一緒にかぁ…仲良くしてくれるといいな。


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