火の力を持つ国王様は愛も熱い
不機嫌なリリィ姫
~リリィside~


私は海辺にある「サシャール」という小さな国の姫として生まれた。

遠くの異国アヴァンカルド王国へ嫁ぐ事は随分前から決まっている。

嫁ぐ事になった経緯はお父様が貿易に力を入れていて小さな国であるゆえにフォースの力を持った国と親交を深めたいが為に私を親交の証として嫁がせるらしい。

娘よりも国の方が大事なお父様に心底嫌気が差した。

好きな人だっていたけど、婚約が決まっているから想いを告げる事無く終わった。

そして嫁ぐのは18歳になってからとの話だったのに、お父様に突然今から向こうの生活に慣れておく為に向こうで暮らすように言い渡された。

私はうちの国で一人娘だ。
一人娘の私が嫁に出されるという事は、これからお母さんが男の子を産むか、私を早く婚約相手の元に出して私が男の子を産んで子供だけ国に戻すかどちらかをさせるのが目的に決まっている。

アヴァンカルド王国の次男に嫁ぐ理由は絶対にそれだ。
会ったこともない人と結婚しないといけないなんて。

本当。最悪の人生。

そもそも炎の力持ってるって何?
火を出せるって意味わかんない。

絶対変な国だよ。

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