あなたを憎んでいる…でも、どうしようもなく愛してる

私達が、話をしていると、病室のドアのノックが聞こえた。
すると、返事よりも前にドアがカチャリと開けられた。

入って来たのは、速水と小柄な看護師の女性だ。


「神宮寺、やっと気が付いたか…あんまり皆を心配させるなよ。」


速水と一緒に部屋へ入って来た看護師は、テキパキと神宮寺の血圧や体温を測っている。


「速水、助かったよ…お前がドクターで本当に助かるよ。」


速水は、クスッと鼻で笑っている。


「神宮寺、煽ててもダメだぞ。お前のような我儘な患者は、本当に迷惑だよ。…でも、お前の大切な桜ちゃんが来てくれて良かったじゃないか。」

「な…な…何を言うんだ!速水!」


速水はケラケラと楽しそうに笑っている。


「お前から、うわ言で女性の名前が出るとは驚いたよ…どんなに美人が寄って来ても、本気で振り向いたことが無かったお前が、何度もその名前を呼ぶから…本当に驚いたよ…お前の弱味を俺は握ったな!」

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