あなたを憎んでいる…でも、どうしようもなく愛してる

それからたったの数時間後。

結婚とはこんなにも簡単な事だったのだろうか。


今、私は婚姻届けに名前を書いている。


あれから結婚の話を、速水に話したところ、早いほうが良いという話になり、病院のスタッフに頼んで、婚姻届けを取って来てもらったのだ。

証人は速水と秘書の須藤にお願いする。

神宮寺は須藤をそのために会社から病院へと呼んだのだ。
訳も分からず、須藤は急ぎ病院に駆けつけたことになる。


「神宮寺…急いで病院に来てくれというから、何事かと思えば…婚姻届けの証人欄にサインしろとは、どういう事だよ。」


須藤は証人欄に名前を書くと、呆れた顔で神宮寺に質問した。


「進藤は俺が独身でいる限り付き纏ってくるだろう。だから少し先回りをしただけだ。」

「先回りって…伊織さんは、本当に同意したのか?」


須藤は私を心配そうな顔で見た。


「須藤さん、社長から無理やり結婚させられたのではありません。私が結婚しましょうと言ったのです。」


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