あなたを憎んでいる…でも、どうしようもなく愛してる
「じんぐ…いいや…悠斗さん、一つだけお願いがあります。」
神宮寺を名前で“悠斗”とはなかなか言い慣れない。
どうしても今まで通り、神宮寺社長と言いそうになる。
「桜、あらたまってどうした?」
私は真っすぐに悠斗さんを見て真剣な顔をした。
「私達の結婚のことは、会社では内緒にしてください。」
すると悠斗さんは不思議な顔をした。
「誰に遠慮することも無い…内緒にする必要は無いだろ?」
「ダメです…絶対ダメ。それでなくても、私が社長付の秘書になり、羨ましく思っている人が沢山いるのですよ。それなのに、結婚したなんて皆に知れたら、大変な事になります。だから、暫くは内緒にしてください。」
悠斗さんは、怪訝な顔をしながらも、なんとか了承してくれた。
神宮寺社長ファンの女性が会社内には沢山いるのだ、それなのに、私と社長が結婚したことが知れたら……考えただけでも大変な事になる。
そして、暫くの間はお互い別々に住むことも悠斗さんに了承してもらった。
お互いが休みの週末だけ、一緒に過ごすことにしたのだ。