あなたを憎んでいる…でも、どうしようもなく愛してる


悠斗さんに腕を掴まれた私は、そのまま店を出て、停めてある車へと向かった。

そして、何も言わずに悠斗さんは車を走らせたのだ。

沈黙がとても息苦しい。

少しして、先に声を出したのは優斗さんだ。

「桜…俺は自分に驚いている。こんなにも狭量な男だったとはな。」

「悠斗さんは何も悪く無いです。悪いのは全部私です。鳴海さんの誘いを断れなかった私がいけないのです。…嫌な思いをさせてごめんなさい。」

悠斗さんは、前を見て運転をしながら、左手を助手席にいる私の頭に優しく置いた。

「桜、…今回も、祥子の企みだったようだな…巻き込んですまないな。」


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