貴方の残り香〜君の香りを狂おしいほど求め、恋しく苦しい〜
 まるであの頃に戻ったかのようだった。

 譲は真梨子の服を脱がせ、しつこいほどの愛撫を繰り返し、激しいキスとともに、お互いの舌を絡め合う。

 譲が服を脱ぐ姿を見ながら、真梨子はうっとり見惚れた。またこうして譲に抱かれる日が来るなんて思いもしなかった。

 会いたいと思っても、それはただの夢。会えたとしても、彼のものにはなれない。

 だからこうして彼と唇を重ね、キスの味を思い出し、あの瞳に見つめられているなんて夢のようだった。

 肌と肌が触れ合い、その温かさに真梨子はほうっと息を吐く。あぁ、なんて気持ちがいいのかしら……。

 足を広げると、そこへ譲が体を滑り込ませる。愛おしそうに真梨子を見つめ、キスを繰り返す。

「……明日は仕事?」
「……ううん、明日は休み……」
「真梨子……何年ぶりのセックス?」
「ん……六年ぶり……かな……」
「六年ということは、匠としたのが最後?」
「……し、知らなかったんだから仕方ないでしょ……」

 すると譲は真梨子の敏感の部分へ指を滑り込ませ、じっくりと解していく。

「そうか……それは妬けるな。それなら朝まで真梨子を味わい尽くさないと……」

 譲が体勢を変えると、唇を重ねながらゆっくりと彼自身を挿入する。たったそれだけで、真梨子の体は大きく跳ねた。

 やっぱり譲は上手なのかしら……こんなに気持ちが良いセックスは久しぶりだった。

「真梨子? ごめん、痛かった?」

 真梨子の瞳から涙が溢れるのを見て、譲は彼女の頬を伝う涙を唇で拭っていく。

「違うの……嬉しくて……」
「何が嬉しいの?」
「……またあなたとこうして繋がれたこと……。私ずっと愛されたかった……愛が欲しかった……だから……」

 唇を塞がれ、しばらく忘れていた甘い感覚に酔いそうだった。

「言っただろ……真梨子を愛してるって……。愛してる人を抱きしめられる、これって本当に幸せなことなんだな……ようやく気付いたよ」

 譲がキスの雨を降らす。

「キレイだよ……あの頃よりずっとキレイだ……」
「や、やめてよ……そんなことない……」
「そういう素直じゃないところも可愛いし、真梨子の優しくて真面目なところが好きで仕方ないよ……」

 譲の腰が動き始め、真梨子の口からは甘い悲鳴が漏れていく。譲は真梨子の耳にキスをし、舌で舐ると、彼女は体をくねらせた。

「その声もたまらない……俺の心を煽る声……。とろけた表情も、もう俺以外には見せてはダメだ……真梨子は俺だけのものだから……二度と離したりするもんか……あんな想いはもう御免だ……」

 あんな想い……? 微かに残った理性の中で、今の言葉の意味を考える。だがその理性も、譲の激しい動きの中でかき消されてしまった。
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