西園寺先生は紡木さんに触れたい
「あれ、紡木さん、もしかして…。」
「はは、いや、まあ…お母さんが夜勤明けの時とかは自分で作ってて…。」
紡木のその言葉に西園寺は思わず目を光らせた。
「もしかして、今日も…?」
「あ、はい…だから、その、あんまり見ないでください!」
適当に作って適当に詰めただけのお弁当を西園寺にまじまじ見られるのが恥ずかしくて、紡木は思わずお弁当を手で隠した。
「すごいなあ…つむちゃん。…私も明日から自分で作ろうかな…!」
由梨は尊敬の意を込めて紡木を見つめた。
「全然すごくないよ、冷凍食品詰めて卵焼き焼いてるだけだし…。」
「食べたいな〜…紡木さんの卵焼き。」
「えっ…。」
西園寺がポツリとつぶやいた独り言に紡木が由梨ちゃんの前で何言っちゃってんの!?驚いて声を出すと、西園寺はしまった、という顔をしてから笑ってその場を誤魔化した。
「…先生って…卵焼き好きなんですね。」
由梨がそう言うと
「え?あ、うん、そうそう。そうなんだ〜!」
西園寺もそれに合わせてぎこちなく笑いながら肯定した。
「じゃ、じゃあ…私が卵焼き作ってきたら、食べてくれますか…?」
そう言って西園寺に上目遣いで見つめる由梨に、「ま、まあ…。」と西園寺は断り切れずに何ともいえない返事をした。
「じゃあ月曜日!作ってくるので食べてください…!」
「そ、そうだね。ありがとう。」
苦笑いを浮かべる西園寺と、頬を赤く染めて嬉しそうに笑う由梨に、紡木は何ともいえない気持ちになった。