西園寺先生は紡木さんに触れたい

それを蓮は協力してくれる、の意だと汲み取ったらしい。


「ありがとう!!」と大きな声で言って紡木の手を取ろうとしたところで、紡木はサッと手を引いた。


「っていうかさ、なんでそんなに葵のことが好きなのに、浮気なんかしちゃったの?」


手を避けたことにつっこまれる前に、紡木はそう聞いて話題を変えた。


「それは…

葵のダチによお、彼氏のことで相談があるからって呼び出されたんだ。
まあ、身体の相性がどうとか?そういう相談に乗ってたら、じゃあ俺とは相性がいいのかとか言い出して、それで…上に馬乗りになられたところに葵が…。」


ああ、男ってヤツは…。


紡木はそう頭を抱えた。


そもそも女の子に襲われたって、逃げることはできるのに、何やってんだか…。


紡木はそうツッコみたくなったが、めんどくさいからやめた。


「なあ、どうしたらいいと思う?」


「うーん……もう諦めるしか……。」



そう紡木が呟くのと同時に、終礼の始まりを告げるチャイムが鳴った。


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