西園寺先生は紡木さんに触れたい

「なあなあ、今度夏祭りあるの知ってるだろ?」


終礼が終わった後、鞄を持った紡木に蓮が再び話しかけてきた。


紡木は少しうんざりした顔で「あー、うん。」と答えた。


「葵も誘って一緒に行かね?てか協力して!ツムツムは適当なところで抜け出してくれていいから!」


「その日はおばあちゃんちに行かなきゃなの。」


「んだよ。じゃあ祭りじゃなくてもいいから、夏休み遊びに行かん?勿論葵も誘って。」


「え〜…。」


「行くよなあ?」


最初は渋っていた紡木も、蓮の圧に耐えられず、勢いよく「はいっ!」と答えてしまった。


「んじゃー決まり!とりあえず連絡先交換しようぜ〜。」


蓮はそう言うと、紡木に半ば強制的に連絡先を交換させた。


「これでよし!じゃ、また連絡するな〜。」


そう言って蓮が立ち去ろうとした時。


「あ、いたいた!霧島くん、紡木さん!」


紡木たちはその声の方へと向くと、そこには西園寺がいつもと同じ笑顔を向けて手を振っていた。


「え…?」

「俺達?」


二人は顔を見合わせてそう呟くと、もう一度西園寺の方を見た。
やはり西園寺は確実に2人に手を振っていた。





< 87 / 343 >

この作品をシェア

pagetop