西園寺先生は紡木さんに触れたい
「なあなあ、今度夏祭りあるの知ってるだろ?」
終礼が終わった後、鞄を持った紡木に蓮が再び話しかけてきた。
紡木は少しうんざりした顔で「あー、うん。」と答えた。
「葵も誘って一緒に行かね?てか協力して!ツムツムは適当なところで抜け出してくれていいから!」
「その日はおばあちゃんちに行かなきゃなの。」
「んだよ。じゃあ祭りじゃなくてもいいから、夏休み遊びに行かん?勿論葵も誘って。」
「え〜…。」
「行くよなあ?」
最初は渋っていた紡木も、蓮の圧に耐えられず、勢いよく「はいっ!」と答えてしまった。
「んじゃー決まり!とりあえず連絡先交換しようぜ〜。」
蓮はそう言うと、紡木に半ば強制的に連絡先を交換させた。
「これでよし!じゃ、また連絡するな〜。」
そう言って蓮が立ち去ろうとした時。
「あ、いたいた!霧島くん、紡木さん!」
紡木たちはその声の方へと向くと、そこには西園寺がいつもと同じ笑顔を向けて手を振っていた。
「え…?」
「俺達?」
二人は顔を見合わせてそう呟くと、もう一度西園寺の方を見た。
やはり西園寺は確実に2人に手を振っていた。