龍神さまのいるところ

第4話

「うわっ!」

 振り返ったとたん、ぶつかったのは山本だった。

「なんだよお前、驚かすなって!」

「……。なぁ圭吾、お前さぁ……」

 顔色が悪い。

いつになくおどおどとして、明らかに言動がおかしい。

「どうした? 何かあったのか?」

 おかしな様子の山本に、こっちまで不安になる。

「和物の龍って言ったら……分かる?」

「和物の龍? あぁ……。分かるよ」

「本当か?」

 山本の顔に血の色が戻った。

がっくりと全身の力が抜ける。

コイツも何かを見たのか。

「あれってさぁ……」

「うん」

「……。あれって……。よ、よく、神社とか日本画に出てくるやつだよな」

「そうだな」

「アニメとか」

「だね」

 山本と目が合う。

俺は目を合わせたまま、しっかりと力強くうなずいた。

彼はそれにようやく落ち着いたのか、乾燥しきった声で笑う。

「はは……。いや、何でもないんだ。ちょっとどうかなって思っただけで……」

「うん。分かるよ。なぁ、休憩しようか。ちょっと休もう。どっか涼しいとこ行こうぜ」

 肩に腕を回す。

少しホッとしたような顔をしたコイツに、なんだか俺の方が申し訳ない気持ちになる。

クソ。

なにが兄妹だ。

宝玉だ。

1000年の龍だ。

あいつら、ぜってぇ許さねぇからな。
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