雪の国の恋、とけない魔法
うそ! 置き去り!

✴︎うそ! 置き去り! ✴︎



お昼に皆で集合した。
フードコートみたいなレストランで、それぞれ好きなコーナーで買って机に持ってくる。


「ふわ〜足が痛い」


午前中ずっと一緒に過ごしていた美紀と藤枝さんは、何だか仲が深まったみたいで、『美紀』、『翔さん』、と名前で呼び合ってる!
スクールに1人で入ったかいがあったよ!

嬉しくなって2人を見て、たまたま先に滑り降りてた上月さんはあっちのテーブル。
ウエアは椅子の背にかけてある。ゴーグルや手袋は無造作に机の上。
インナーとスキーパンツにストラップ、後ろ姿が、ゆったりと椅子の背に腰掛けていて、何食べてるのかな、あ、笑った、足元の靴は金具が外されていて、その金具1つすら外したり付けたりを手間取る花梨は、そんな事ですら上月さんを遠く感じてしまう。

美紀はもちろん藤枝さんと午後も一緒に過ごすらしい。

苦労してお手洗いに行ったり、帽子とゴーグルを用意したりしていたら、新田さんがニコニコ近づいてきて、3人組に「早く早く、一緒に行こっ、」とかにこやかに誘われた。

(えっ何で、)と思いながら、


「ほら、行くよ! 」
「せっかくなんだから、皆んなでやってみよ! 」


とにこやかに、自信たっぷりに言われると、そうかな、って単純に思った。
美紀もいないし、どうせ1人だった。
親切に声をかけてくれているのかもしれない。

本当は皆と合流せずに、最初に練習していた超超初級の短い坂を自主練しようと思っていたけど、さっきインストラクターと練習した初級コースなら、まぁ、時間さえかければ降りることはできるかな。

なんて。

あれ?

さっきと違うリフトののような⋯⋯ 。

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