雪の国の恋、とけない魔法


「綺麗! 」


一面ケーキのよう。真っ白でふわふわ。
空からはチラチラと細かくて、お砂糖みたいな粉雪。
寒いのに寒くない。


「わぁ! 」


回廊から散らつく雪の中、思わず中庭に出て、すごい、って感動して見上げたら、光に照らされる宮殿のようなホテルの三角の屋根。


「絵本みたい! 」


言いながら振り返って上月さんの顔を見上げたら、じっとこっちを見下ろす彼の目。

雪と幻想的なライトと、その光に照らされた顔。

じっと見られて、この現実もまるでおとぎ話みたい、上月さんとこんなところに、夜に2人きりで見つめ合う。
これは魔法?

すいこまれてしまうみたいだ。
彼の目がフッと柔らかくなって、その甘さにさらに魅入る。


「それだけ感動したら、来た甲斐があるよね」

「ですね!!! 」


こんな雪を体感できて、もうそれだけでもよかった!
上月さんと話せて、よかった⋯⋯ 。


「写真撮ってあげる」

「あ、」


カシャ。

なんかはずかしいな、上月さんの携帯に写真をとられて。


「送るから、はい、アドレス交換しよ」


< 25 / 43 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop