雪の国の恋、とけない魔法
スキー旅行、当日

✴︎スキー旅行、当日✴︎



飛行機の検査場で座席がわかった。


「ねっ」


とマキが言った。


「確かに」


2人が隣同士で座れるだけでもありがたい。
1人も嫌だっただろうし、あの3人に合流するのはもっと大変だっただろう。

今年参加しているのは10人。
美紀と花梨。
美紀の片想い相手、藤枝翔さん。
その友達の上月蓮斗さん、
社内公認カップル一組、
奥さんに赤ちゃんが出来たので参加できなくなり1人参加の男性先輩木下さん、今回の幹事だ。
そして新田さん達、3人組の女子。

待ち合わせの搭乗口は19番。
そこの椅子に2人で座った。
早めに来たから、まだ誰も来ていなかった。

荷物の番をしながら、交代で化粧室に行く。

美紀を待っている間に、ちょっと緊張してきちゃった。

上月さんか⋯⋯ 。

彼は3つ年上で、一応顔見知り程度。
だけどこの人には、本当に、何で言うか。
花梨は変なとこばかり見られていているのだ⋯⋯ 。

今回のスキーに参加することを知って、
「滑れるの? 」
って驚いたように聞いてきた。
痛いところをつかれて、
「いえ、全く」
と逃げちゃった。
見るからに滑れなさそうと思ったんだろう。

だって、美紀が上月さんの友達の藤枝さんが目当てという、すごく不純な動機だから。その付き添いだから。
滑れもしないのに、スキーに参加するなんて、って思われてるんじゃないかと感じてしまったから。

スキーを楽しむ人に、申し訳ないし恥ずかしくなったんだ。


< 4 / 43 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop