雪の国の恋、とけない魔法


美紀と2人で立っていて、3人組も上から下まで私達を見ながら、少し離れたところ上月さんの後ろにいて、カップル先輩が上月さんに話しかけて、なんてしていた。

搭乗口で時間を待っているうちに、たまたま、だよね、何だか、上月さんと藤枝さんが真前に立っていた。

突然、くるっと藤枝さんが思いついたようにふりかえって、


「君たちは滑れるの? 」


って美紀に聞いてきた。
アワアワ、あわてるけど、そこはグッと頑張って!
美紀が、


「ほぼ初心者です、残念ながら! 」


と答えたら、


「今日のオレと同じだね〜」


なんて、言った。
フレンドリーだ。


「あ、そうだ、じゃぁさっ、一緒に初心者の練習する? 」

「! はい!!!!!いいんですか⁈ 」

「だって、今回オレ滑れないよ、マジで」

「ですね! ぜひぜひ!!!」


なんと、美紀が藤枝さんと約束してしまった。


「みんな結構滑れちゃうから、さみしいのよ。よかった。安心した」


なんて言ってくれる。
搭乗口が開いて、藤枝さんは前を向いた。

美紀が、


(やばっっっ)


と目を丸くして口パクでこっそり言った。

飛行機に座ったら、2人席だから、コソコソと心置きなく話す。


「どうしよ、どきどきする、やばい、えっ?!藤枝さんとあわあわ!!!」

「落ち着いてっ! 」


とさんざん2人であわてて、しばらくしてふと気がついた⋯⋯ 。
あ、私、1人じゃん、さっそくもう邪魔じゃん、って。


「うん、いいよ、私はスクールにでも入ってるよ、」

「ホントにごめんね⋯⋯  」


と涙を溜めながら言われて、そりゃ、こんな一大事、もちろんだよ、って、さみしい旅行になりそうだ。

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